原因をよく考えてみる

2011.09.30

第三者損害については民法第七一六条は「注文者ハ請負人カ其仕事ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス」と定めていますので、当然請負者の負担とされていますが、その原因をよく考えてみると理論上必ずしも請負者の責に帰し得ないものがあります。例えば、建物の基礎工事を施行していたところ近隣の井戸水が枯渇したとか、杭打工事による騒音、振動、これに伴う地盤沈下、建物の損傷のようなものは、請負者が相当の注意をしても、現在の技術水準では避けられない場合もあり、このような損害まで、すべて請負者負担とすることは酷であり、また公平を欠くと思われます。したがって、第三者の損害については請負者の故意過失に基づく一般的損害と工事施行に伴い通常避けることのできない損害とに区分し、前者は請負者自身の不法行為として請負者の責任問題とし、後者は建設公害として注文者の責任、少なくとも注文者と請負者の共同責任の問題として処理すべきものと考えます。なお、建設公害は、適法行為によって第三者に損害を生ずるもので、本来は不法行為とはいえないわけですが、民法にはこの種の損害についてドイツ民法のような規定がないので、裁判所は不法行為の問題として処理しています。

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