裏通りで、前面の道路幅が5〜6メートル前後しかない場合には、昨年のピーク時は表通りの半値というのが大体の相場であったか、今ではその価格でも買い手がついていない。つまり表通りに面したものは2、3年前に比べて4倍近く値上がりし、そのピーク時の水準からそれほどは値下がりしないまま高値安定で推移しているのに対して、裏通りのものは値崩れか激しいのである。その理由は、賃貸ビルとして計画するには地価が高すぎて採算がとれないこと、特に20坪や30坪の面積しかない場合には、いかに地名がよくても企業の本社ビルとしては狭すぎることなどである。したがってこのような条件の物件は、ひとたび土地投機の熱が冷えてしまうと、それなりに妥当な価格まで下がらないと買い手がつかないことになる。このように都心の地価は立地条件のよいものは基本的にほぼ高値で安定し、条件の悪いものはピーク時の半値ぐらいに下落していくとみられる。このような調整期間はここ1〜2年は続くと思われる。また東京都心の商業地についても、坪6000万円を超えた地域ではいかに大手の不動産業者といえども、いかなるインテリジェントビルを計画しても完全に採算が合わない。また固定資産税の高騰は不動産業者の利益を年々圧迫していくことになり、これまでのような多額の利益をあげることは期待できない。そのため、従来都心の用地買収の中心的役剖を果たした大手不動産会社が用地購入に消極的になったあと、高地価地域で土地を購入する主役は、情報産業や戦後40年以上にわたり巨額の内部留保を蓄えた地方の優良企業とみられる。ということは、今後は都心の地価も景気の変動に応じて値上がりすることか頻繁に生じるかもしれない。つまり地価はそのときどきに新規取引の主役となる企業の士気に左右されて変容するようになるであろう。
[参考]
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