1軒家なら追い出せないのにマンションなら追い出せる凄さ

2011.12.19

皆さんは第59条、第60条を当然のことだとお思いだろうか。たしかに、マンションのお隣が暴力団事務所や風俗営業店になっているなんてゾッとするし、出ていってもらって当然といえば当然かもしれないが、もし1戸建てに住んでいて、隣のビルが暴力団事務所だったら、これを同じ方法で追い出せるかというと、そうはいかない。周辺の住民が受ける不安や、共同生活が著しく阻害されるという点についてはまったく違いがないにもかかわらず、単独の建物を所有していたとしたら、地域住民が競売請求を裁判所に申し立てできるなどという法律はどこにもない。

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したがって、追い出すことはほとんど不可能なのだ。それだけ、所有権を否定するというのは容易ではないのである。財産権は憲法で保障されている。それなのにこれら区分所有法の条文によって厳しい制約を受ける。したがって、その運用は慎重でなければならないし、そのためには手続きがきちんと踏まれることが大切なのである。これを刑事事件について考えるとわかりやすいかもしれない。私たちが刑事事件の弁護人として基本的人権を主張すると、なぜ犯罪者の肩を持つんだ、なぜ悪いことをした人間の人権を認めるんだといった批判を受けることがある。人権というのはだれもが等しく持っているもので、悪いことをしたから認めないといったものではない。たとえば理由もなく逮捕されるといった、自分が了解できないことで一方的に自分の人権が制約されたら、だれだっていやだろう。そのときに1人1人を守ってくれるのが人権なのである。その人権を守るということは、刑事事件における手続きを、1つ1つきちんと進めていくことなのである。